今回はトリプトファンの副作用について触れたいと思います。
トリプトファンについては幸福ホルモンであるセロトニンの材料になると何度か消化したことがありますね。
上記の記事はアーモンドに含まれているので、継続的な摂取が望ましいとしました。
このほかにも様々な食品からトリプトファンは摂取できます。
しかし、トリプトファンにも副作用的なものがあるようです。
その副作用とはどのようなことか?
[スポンサードリンク]
トリプトファンのおさらい
早速ですがトリプトファンの副作用について触れていたい…
のですが、トリプトファンの副作用を紹介する前に自律神経についての知識がなくてはいけません。
先に自律神経とトリプトファンの関係をおさらいしておきましょう。
トリプトファンは当サイトでこれまで紹介してきたように幸福ホルモン・セロトニンの材料になるといわれています。
現代人はストレスなどで自律神経が乱れがちです。
特にストレスを長期的に受け続けると、自律神経は交感神経から副交感神経に変わりにくくなると言われています。
副交感神経が働かなくなるとリラックス状態になりませんので、常に体は戦闘状態となり疲労感が増し、やる気が出ない状態となるでしょう。
これが続くと鬱病になるのです。
リラックス状態を作るトリプトファン
動物は交感神経と副交感神経が交互に繰り返すことで正常としています。
現代人は交感神経に偏りがちなので、副交感神経をできるだけ働かせるようにセロトニンを増やすように言われているのです。
このセロトニンの材料となるのが最初にも紹介したようにトリプトファン。
トリプトファンを摂取するとセロトニンが作られやすくなり、自律神経の正常化に役立つとされ注目されてきたわけですね。
鬱病などは睡眠障害を引き起こします。
セロトニンを増やすことで睡眠(休息)と取れやすくするという仕組みです。
[スポンサードリンク]
トリプトファンの副作用
自律神経の正常化に役立つとされトリプトファンは注目されました。
その影響もあって今ではトリプトファンを含むサプリメントも多く販売されています。
サプリメントは手軽に栄養補給できますので多くの人に使われていますが、当然ながら用法用量を正しく使わなければ副作用的なものが発生することがあるとも言われています。
トリプトファンの副作用について語られるときに紹介されるのがトリプトファン事件です。
サプリメントを摂取したことによって健康被害が出た事例となっています。
トリプトファン事件
トリプトファン事件(トリプトファンじけん)とは、米国において1988年末から1989年6月にかけて、昭和電工が製造した必須アミノ酸である「L-トリプトファン」を含む健康食品を摂取した人の血中に好酸球が異常に増加して筋肉痛や発疹を伴う症例、好酸球増加筋肉痛症候群(eosinophilia?myalgia syndrome – EMS)が大規模に発生した事件である。FDAのサイトによると、被害は1,500件以上、死者38名と記録されている。
出展:トリプトファン事件 – Wikipedia
トリプトファン事件では1500件の被害報告があり、38名の死者を出したとされています。
好酸球増加筋肉痛症候群
引用文中に「好酸球増加筋肉痛症候群」という名称が出てきますね。
好酸球が異常に増加することで健康被害が出るというものです。
好酸球は白血球の一種で、血液中にわずかに含まれているものとのことでした。
白血球は免疫細胞ですから外敵と戦う細胞です。
- 寄生虫
- アレルギー物質
これらが侵入してきたときに活性化するため発疹などの症状が見られます。
外敵駆除をする場合は、炎症を起こしますので筋肉痛などの症状も出ると考えられます。
[スポンサードリンク]
トリプトファンが原因か特定できていない
トリプトファン事件後には詳細な調査が行われたようです。
FDA・アメリカ食品医薬品局が最終的に出した公式見解が次のようになっているとのこと。
“Based on the scientific evidence that is available at the present time, we cannot determine with certainty that the occurrence of EMS in susceptible persons consuming L-tryptophan supplements derives from the content of L-tryptophan, an impurity contained in the L-tryptophan, or a combination of the two in association with other, as yet unknown, external factors.”
「現時点で利用可能な科学的証拠に基づくならば、L-トリプトファンのサプリメントを摂取した人々に発生した大規模健康被害(EMS)が、L-トリプトファンの内容物に由来するのか、不純物に由来するのか、あるいは互いに関係するこれら2つの組み合わせに由来するのか、それとも未知の外的要因に由来するのかについて、我々は確信を持って特定することができない。」
出典:トリプトファン事件 – Wikipedia
原因はトリプトファンかどうか特定できなかったとしています。
事件直後はトリプトファンの販売を禁止する措置がなされましたが、この結果を踏まえて緩和されており通常通りの販売が許されているようです。
過剰摂取説
直接的な原因として有力視されているのが過剰摂取です。
特にアメリカ社会は大量消費が目立ちます。
不純物もしくはトリプトファンを大量摂取したがために健康被害が出たという可能性は否定できないでしょう。
今でこそ日本でもサプリメントであっても摂取目安が記載されるのが当たり前になりました。
健康食品は医薬品ではなく食品ですから、本来であれば摂取目安は必要ありません。
しかし、特定成分を一度に大量摂取することは思わぬ事故に発展しかねないためこのような措置がとられています。
トリプトファン事件はかれこれ30年前のアメリカで起きた出来事。
当時、このような摂取目安の規定があったかどうかは怪しいです。
許容量を超えた摂取が行われた可能性は十分あります。
不純物説
過剰摂取と同じく有力視されているのが問題となった昭和電工が製造した健康食品に不純物が含まれていた可能性。
この不純物が原因で好酸球増加筋肉痛症候群などが見られたのではないかというものです。
ただし、こちらの説も大量摂取しないと病気へ発展しないと結論づけているようです。
こちらの説であっても、過剰摂取が関係しているといえます。
現状においては特定できていませんので、トリプトファンの副作用はあくまで一つの可能性に過ぎません。
トリプトファンの副作用は不明
今回はトリプトファンの副作用について紹介してきました。
調べてみて過去にトリプトファン事件というものがあったことを初めて知りました。
最近注目されてきていると思っていたのですが、かれこれ30年前から健康食品として販売されていたようですね。
事件によって一時的に姿を消して、再び復活してきたというところでしょうか。
トリプトファン事件が本当にトリプトファンによって起こされたのかはFDAの公式見解でも不明としています。
- 大量摂取が原因だったのか?
- 不純物が原因だったのか?
はっきりしていません。
しかし、やはり最終的に言えるのは過剰摂取は控えることでしょう。
特にサプリメントはメーカーが指定する目安を守ることで健康被害を起こしにくくすることは可能です。